頭のかゆみ・フケによって起こる粃糠性脱毛症とはどんな疾患なのでしょうか。粃糠性脱毛症の特徴や原因、対策や治療方法について解説します。
粃糠性脱毛症(ひこうせいだつもうしょう)は、大量の乾燥したフケと頭皮のかゆみを伴う脱毛症です。
主な症状として、頭全体に細かい灰白色のフケが固く付着し、頭皮が赤くなり、かゆみを伴います。
粃糠性脱毛症の特徴は、フケが毛穴を塞ぎ、炎症を引き起こすことで髪の成長が阻害されることです。AGAとは異なり、粃糠性脱毛症では頭全体の髪の量が減少し、全体的に薄くなります。初期段階では細くて弱い髪が生えますが、進行すると完全な脱毛に至る可能性があります。
粃糠性脱毛症は主に思春期以降の男性に多く見られますが、女性でも発症することがあります。ホルモンバランスの乱れ、ストレス、不適切なヘアケア、偏った食生活などが原因として考えられています。
「粃糠」という名前は、症状の特徴を表しています。「粃(ひ)」は中身のない籾殻を意味し、「糠(ぬか)」は米の表面を削った際に出る粉を指します。これらの言葉が組み合わさって、頭皮に大量に発生する細かいフケの様子を表現しています。この症状が脱毛を引き起こすことから、「粃糠性脱毛症」と呼ばれるようになりました。
粃糠性脱毛症は、頭皮にかゆみがあり、フケが普段よりも多く出る人は注意が必要です。
下記にチェックリストと粃糠性脱毛症になりやすい方の特徴をまとめました。チェックリストの症状が1つでもあり、2週間以上続く場合は、粃糠性脱毛症の可能性があります。
更に、症状が軽い方でも粃糠性脱毛症にかかりやすい人の特徴に当てはまる方は要注意です。症状が進行する前に適切な治療を受けることで、より効果的に対処できます。
1.フケの量
・1日に落ちるフケの量が通常の2〜3倍以上目立ってきた
・髪を軽くかき上げただけでフケが目立つ
2.かゆみの程度
・1日に3回以上頭皮を掻きたくなる
・夜間のかゆみで睡眠が妨げられる
3.頭皮の状態
・頭皮が赤みを帯びている
・触ると熱っぽく感じる
4.脱毛の状態
・シャンプー時や髪をとかす際に、普段より多くの髪が抜ける
・頭頂部や生え際が薄くなってきたと感じる
粃糠性脱毛症にかかりやすい人の特徴
・不適切なヘアケア習慣がある人(肌質に合わないシャンプーを使い続けている、シャンプーのすすぎ不足など)
・生活習慣が不規則な人
・アレルギーやアトピー体質の人
・ストレスを受けやすい人
先程紹介したように、粃糠性脱毛症の原因にはさまざまな要因があります。
ここでは、「かかりやすい人の特徴」をさらに詳しく解説していきます。
肌質に合わないシャンプーは粃糠性脱毛症の主な原因の一つです。
強い刺激で頭皮が乾燥し、フケが増えたり、炎症を起こしたりします。
また、皮脂バランスが崩れ、毛穴が詰まることで髪の成長を妨げます。これらの問題から頭皮環境を悪化させ、脱毛のリスクを高めます。
健康な頭皮を保つには、自分に合ったシャンプーを選び、適切な洗髪方法を実践することが大切です。
1.頭皮の反応
・洗髪後に頭皮がつっぱる、かゆみが出る
・赤みや炎症が現れる
2.髪の状態
・髪がパサつく、ごわつく
・抜け毛が増える
3.フケが出る
・洗髪後もフケが目立つ
・フケの量が増える
4.皮脂バランス
・洗髪直後なのに頭皮がベタつく
・逆に極端に乾燥する
生活習慣の乱れは粃糠性脱毛症の主要な原因の一つです。以下の理由から頭皮環境を悪化させ、症状を引き起こす可能性があります。
1.偏った食生活
偏った食生活は、髪の健康に必要な栄養素の不足を招きます。
特にジャンクフードや加工食品の過剰摂取は、皮脂の過剰分泌を促し、頭皮環境を悪化させてしまいます。
2.不規則な生活や睡眠不足
不規則な生活や睡眠不足は、ホルモンバランスを崩します。
これにより、頭皮の新陳代謝が乱れ、フケの増加や脱毛のリスクが高まります。
3.運動不足
運動不足は、全身の代謝を低下させます。
代謝が低下することで頭皮の健康にも悪影響を及ぼし、フケの増加や脱毛を促進する可能性があります。
アレルギーやアトピー体質は粃糠性脱毛症の発症リスクを高める要因となります。
下記の理由より頭皮環境に影響を与え、症状を引き起こす可能性があります。
1.免疫系の過剰反応してしまうから
アレルギー体質の人は、免疫系が過敏に反応しやすく、頭皮にも炎症を引き起こしやすい傾向があります。これにより、フケの増加や毛包へのダメージが生じる可能性があります。
2.皮膚バリア機能の低下を招いてしまうから
アトピー素因を持つ人は、皮膚のバリア機能が弱いことが多く、頭皮も外部刺激に敏感になりやすいです。これにより、頭皮の乾燥やかゆみが生じやすくなります。
3.ストレス反応が増大するから
アレルギー体質の人は、ストレスに対する身体の反応が強くなりがちです。ストレスは頭皮の血流を悪化させ、健康な髪の成長を妨げる可能性があります。
4.自己免疫反応を起こしてしまうから
アレルギーやアトピーがある人は、体の免疫システムが過剰に反応しやすい傾向があります。
まれに、この過剰反応が自分の毛根を攻撃してしまうことがあります。
これにより、髪の成長が妨げられ、脱毛につながる可能性があります。
ただし、この現象はすべての人に起こるわけではなく、個人差があります。
強いストレスは粃糠性脱毛症の原因の一つです。下記の理由から頭皮環境を悪化させます。
1.血行不良を引き起こす
ストレスで交感神経が活発になり、頭皮の血流が悪化。髪に必要な栄養が行き届かなくなります。
2.ホルモンバランスの乱れ
ストレスでホルモンバランスが崩れ、皮脂の過剰分泌を引き起こし、頭皮環境を悪化させます。
3.髪の毛の主成分の栄養素が不足する
ストレスで亜鉛が不足し、髪の主成分であるケラチンの生成が妨げられます。
4.自律神経の乱れを引き起こす
ストレスで自律神経のバランスが崩れ、頭皮の健康状態に悪影響を与えます。
粃糠性脱毛症の対策には、予防と改善の両面からアプローチすることが重要です。
ここでは、日常生活で実践できる効果的な方法や、専門的なケアについて詳しく説明していきます。
これらの対策を適切に行うことで、症状の軽減や進行の予防が期待できます。
粃糠性脱毛症の予防と改善には、日常生活で実践できるセルフケアが重要です。
ここでは、適切なヘアケア、生活習慣の改善、アレルギー対策、ストレス管理など、自宅で取り組める効果的な方法を詳しく解説します。
これらの対策を継続的に行うことで、症状の予防や改善が期待できます。
●適切なシャンプー選び
・低刺激のアミノ酸系シャンプーの使用
・頭皮に合った製品を選ぶ(乾燥肌向け、脂性肌向けなど)
●正しい洗髪方法の実施
・ぬるま湯(35〜39°C)で洗髪する
・指の腹で優しくマッサージしながら洗う
・すぎは十分に行い、シャンプーやトリートメントを残さない
●食生活の改善
・バランスの取れた食事を心がける
・髪の健康に必要な栄養素(タンパク質、ビタミン、ミネラル)を摂取する
・加工食品や脂肪分の多い食事を控える
●睡眠不足の改善
・十分な睡眠時間を確保する(7〜8時間程度)
・規則正しい睡眠サイクルを維持する
●運動不足の改善
・頭皮の血行を改善するウォーキングやジョギングを1日30分以上行う
●頭皮のケア
・保湿クリームや頭皮用ローションで乾燥を防ぐ
・炎症を抑える成分(アロエベラなど)を含む製品を使用する
・頭皮に刺激を与える可能性のある製品や環境を特定し、避ける
・帽子やヘアアクセサリーの素材にも注意を払う
●生活環境の整備
・室内の湿度を適切に保つ(50〜60%程度)
・こまめに掃除を行い、ダニやホコリを減らす
●こまめなリラックス法をカ活用し、ストレスを緩和する
・深呼吸やメディテーションを日常的に行う
・趣味や好きな活動で気分転換を図る
●時間管理を行う
・仕事や生活にメリハリをつける
・1日~2日ほど十分な休息時間を確保して気分転換を行う
粃糠性脱毛症は早期発見・早期治療が極めて重要です。
日常的なセルフケアで改善が見られない場合や、症状の早期改善を望む場合は、専門医による治療が必要となります。
早期に適切な治療を開始することで、症状の進行を抑え、より早い回復が期待できます。主な治療法には以下のようなものがあります。
1.薬物療法
薬物治療は取り組みやすいため、最初の治療として選ばれる方が多いです。
・ステロイド外用薬:頭皮の炎症を抑制
・抗真菌薬:マラセチア菌の増殖を防ぐために使用され、外用薬や内服薬があります
2.低出力レーザー療法(LLLT)
薬物療法に反応しない方や、副作用を避けたい方におすすめ。
・炎症を抑え、毛包細胞の活性化を促進し、症状の改善を助けます
3.植毛
早急に髪のボリュームを回復したい方や、他の治療法では満足できない方におすすめです。
・後頭部や側頭部から健康な毛髪を薄毛部分に移植します。これにより自然な仕上がりが期待でき、早期の改善が見込まれます
脂漏性脱毛症は、頭皮の過剰な皮脂分泌とそれに伴う炎症が原因で進行する脱毛症です。
この状態では、皮脂腺が活発になり、マラセチア菌が異常に増殖します。
その結果、慢性的な炎症が発生し、毛根が萎縮して脱毛が進行します。
主な症状としては、頭皮のべたつき、大きなフケ、赤みやかゆみが生じる。
粃糠性脱毛症との違い
・脂漏性脱毛症のフケは黄色味を帯びてべたつくことが多い
・炎症によるニキビや湿疹が見られる
AGA(男性型脱毛症)は、男性に多く見られる進行性の脱毛症で、主に生え際や頭頂部の薄毛が特徴です。
症状としては、髪が細くなり、徐々に抜け落ちていくことが挙げられます。特に、A字型やM字型の脱毛が進行し、最終的には後頭部と側頭部に髪が残る状態になります。
粃糠性脱毛症との違い
・AGA治療では特定の部位に部分的な薄毛が見られる
・粃糠性脱毛症は全体的な薄毛が見られる
AGAの進行を予防するための対策については、ぜひこちらをご覧ください。
FAGA(女性男性型脱毛症)は、女性に見られる脱毛症の一種で、主に頭頂部や全体的に髪が薄くなることが特徴です。
初期症状としては、分け目が広がったり、抜け毛が増えたりすることがあります。進行するにつれて、髪全体のボリュームが減少し、頭皮が透けて見えるようになることもあります。
粃糠性脱毛症との違い
・FAGAは髪の細さやボリュームの減少する
・粃糠性脱毛症はフケや炎症を伴うがFAGAはそういった症状は見られにくい
FAGAについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
びまん性脱毛症は、女性に多く見られる脱毛症の一種で、頭部全体の髪が徐々に薄くなることが特徴です。
この状態では、髪のボリュームが減少し、分け目が目立つようになります。
また、髪のコシやハリが失われ、ペタンと寝てしまうこともあります。初期症状としては、抜け毛の増加や髪が細くなることが挙げられます。
粃糠性脱毛症との違い
・びまん性脱毛症はは髪の細さやボリュームの減少する
・粃糠性脱毛症はフケや炎症を伴うがびまん性脱毛症ははそういった症状は見られにくい
びまん性脱毛症についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
瘢痕性脱毛症は、頭皮に傷がつき、その結果として毛包が破壊されることで発生する脱毛症です。
主な症状は、脱毛部位に瘢痕(傷跡)が形成され、そこからは二度と髪が生えなくなることです。
傷跡の周囲には赤みや腫れが見られることもあり、場合によっては膿を伴うこともあります。
進行すると、脱毛部位が光沢を帯びたくぼんだ状態になります。
粃糠性脱毛症との違い
・瘢痕性脱毛症は傷跡から脱毛を引き起こす
・赤みや腫れを伴う
頭のかゆみやフケは、抜け毛や薄毛と密接に関係しています。特に、粃糠性脱毛症や脂漏性脱毛症では、これらの症状が脱毛を引き起こす要因となります。
粃糠性脱毛症は、乾燥したフケやかゆみを伴い、頭皮の炎症が進行することで髪の成長が阻害されます。大量のフケが毛穴を塞ぎ、マラセチア菌が繁殖することで炎症が悪化し、結果的に抜け毛が増加します。この脱毛症では全体的に髪の量が減少することが特徴です。
一方、脂漏性脱毛症は、皮脂の分泌過剰によって引き起こされます。過剰な皮脂は頭皮に炎症をもたらし、赤みやかゆみを伴います。この状態が続くと、毛根がダメージを受けて抜け毛が増えることがあります。
このように、頭のかゆみやフケは、脱毛症の進行を助長する要因となるため、早期の対策が重要です。適切な治療やケアを行うことで、健康な髪を維持することが可能です。
フケが出る理由や原因は、主に頭皮の状態に起因しています。
フケは古くなった角質が剥がれ落ちたもので、正常なターンオーバーによって発生しますが、以下の要因が影響を及ぼすことがあります。
・乾燥
頭皮が乾燥すると、角質が剥がれやすくなり、乾性フケが発生します。シャンプーのしすぎや強い洗浄成分の使用、季節的な影響などが原因となります。
・皮脂の過剰分泌
脂性フケは、皮脂の過剰分泌によりマラセチア菌が増殖し、古い角質がベトベトとしたフケとなります。これは不衛生な状態を引き起こし、かゆみや炎症を伴うことがあります。
・生活習慣
不規則な食生活やストレスも頭皮環境を悪化させ、フケの原因となります。
特に、栄養不足やホルモンバランスの乱れは大きな影響を与えます。
フケが止まらない場合、いくつかの疾患が考えられます。まず、脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌過剰によりマラセチア菌が増殖し、炎症を引き起こすことでフケが発生します。
この疾患では、頭皮に赤みやかゆみを伴うことが多く、フケは黄色味を帯びていることがあります。
次に、乾燥肌もフケの原因となります。
頭皮が乾燥すると、角質が剥がれやすくなり、乾性フケが発生します。特に冬場やエアコンの効いた室内では乾燥が進みやすくなります。
さらに、アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎などのアレルギー反応もフケを引き起こすことがあります。これらの疾患では、頭皮にかゆみや赤みを伴い、フケの量が増えることがあります。
このように、フケが止まらない場合は、単なる頭皮の問題だけでなく、さまざまな疾患が関与している可能性があります。症状が続く場合は専門医の診察を受けることをおすすめします。
フケの予防と改善には、以下の方法が効果的です。
1. 適切なヘアケア
・シャンプー選び: 低刺激のアミノ酸系シャンプーを使用し、頭皮に合った製品(乾燥肌向けや脂性肌向け)を選びます。
・洗髪方法: ぬるま湯(35〜39°C)で洗髪し、指の腹で優しくマッサージしながら洗います。すすぎは十分に行い、シャンプーやトリートメントを残さないようにします。
2. 生活習慣の改善
・食生活: バランスの取れた食事を心がけ、髪に必要な栄養素(タンパク質、ビタミン、ミネラル)を摂取します。加工食品や脂肪分の多い食事は控えましょう。
・睡眠と運動: 十分な睡眠時間(7〜8時間)を確保し、頭皮の血行を改善するためにウォーキングやジョギングを1日30分以上行います。
3. アレルギー・アトピー対策
・頭皮ケア: 保湿クリームや頭皮用ローションで乾燥を防ぎ、炎症を抑える成分を含む製品を使用します。刺激を与える製品は避けましょう。
・生活環境: 室内の湿度を50〜60%に保ち、こまめに掃除してダニやホコリを減らします。
4. ストレス管理
・リラックス法: 深呼吸やメディテーションを日常的に行い、趣味や好きな活動で気分転換を図ります。
・時間管理: 仕事や生活にメリハリをつけて、十分な休息時間を確保しましょう。
フケやかゆみに効くシャンプーを選ぶ際には、いくつかの重要な特徴と基準があります。自分の症状にあったものを選ぶ必要があります。
1. 成分の確認
アミノ酸系シャンプー: 頭皮に優しく、乾燥を防ぎながら洗浄できるため、敏感な頭皮に適しています。
抗真菌成分: フケの原因となるマラセチア菌を抑えるために、ミコナゾール硝酸塩やオクトピロックスなどの成分が含まれているものを選ぶと効果的です。
抗炎症成分: グリチルリチン酸ジカリウムなどの成分が含まれていると、かゆみを軽減し、炎症を抑える助けになります。
2. 洗浄力
過剰な皮脂を取り除くために、適度な洗浄力を持つシャンプーを選びます。強すぎる洗浄力は頭皮を傷める可能性があるため注意が必要です。
3. 保湿効果
保湿成分(例:ヒアルロン酸やベタイン)が含まれているシャンプーは、乾燥によるフケの発生を防ぎます。
4. 無添加処方
香料や着色料、シリコンなどの刺激物が含まれていない無添加の製品を選ぶことで、頭皮への負担を軽減できます。
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