AGAの治療には様々な方法があります。それぞれの治療効果について、日本皮膚科学会のガイドラインをもとに解説いたします。
AGAの症状は、治療による改善が見込めます。
ただし、AGAの治療には様々な方法があり、それぞれ効果も異なります。
本ページでは、日本皮膚科学会が定めるガイドラインをもとに、各治療方法のエビデンスや推奨度を解説いたします。
推奨度 | ||
---|---|---|
臨床的疑問 | 男性型脱毛症 | 女性型脱毛症 |
フィナステリドの内服 | A | D |
デュタステリドの内服 | A | D |
ミノキシジルの外用 | A | A |
ミノキシジルの内服 | D | D |
自毛植毛 | B | C1 |
人工毛植毛 | D | D |
LEDおよび低出力レーザー照射 | B | B |
アデノシンの外用 | B | C1 |
カルプロニウム塩化物の外用 | C1 | C1 |
t- フラバノンの外用 | C1 | C1 |
サイトプリンおよびペンタデカンの外用 | C1 | C1 |
ケトコナゾールの外用 | C1 | C1 |
かつらの着用 | C1 | C1 |
ビマトプロストおよびラタノプロストの外用 | C2 | C2 |
成長因子導入および細胞移植療法 | C2 | C2 |
●推奨度の分類
A.行うよう強く勧める
(少なくとも1つの有効性を示すレベルIもしくは良質のレベルIIのエビデンスがあること)
B.行うよう勧める
(少なくとも1つ以上の有効性を示す質の劣るレベルIIか良質のレベルIII,あるいは非常に良質のIVのエビデンスがあること)
C1.行ってもよい
(質の劣るIII~IV,良質な複数のV,あるいは委員会が認めるVIのエビデンスがある)
C2.行わないほうがよい
(有効のエビデンスがない,あるいは無効であるエビデンスがある)
D.行うべきではない
(無効あるいは有害であることを示す良質のエビデンスがある)
出典:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/AGA_GL2017.pdf
ここからは、各治療法の詳細について、より深く掘り下げて解説していきます。
AGA治療方法のそれぞれの治療法の特徴、効果、そして注意点など順を追って見ていきましょう。
フィナステリドは、AGAの治療において最も高い推奨度(A)を持つ内服薬の一つです。この薬剤は5α還元酵素II型阻害薬として作用し、テストステロンからジヒドロテストステロン(DHT)への変換を抑制します。
主な特徴は以下の通りです。
1.用法・用量:1日1回1mgを服用
2.有効性:90%以上の患者で薄毛の進行停止、約60%で発毛効果が認められる
3.効果発現:6ヶ月程度の継続使用で効果が現れ始める
4.副作用:性機能関連の副作用(性欲低下、勃起障害など)が1〜2%程度で報告されている
フィナステリドは、20歳以上の男性のAGA治療薬として承認されており、長期使用での安全性も確認されています。
ただし、この薬剤は胎児の発育に影響を与える可能性があるため、妊婦や妊娠の可能性がある女性は服用は避けましょう。
デュタステリドは、AGAの治療において最も高い推奨度(A)を持つ内服薬の一つです。
この薬剤は5α還元酵素I型とII型の両方を阻害し、テストステロンからジヒドロテストステロン(DHT)への変換を抑制します。
主な特徴は以下の通りです。
1.用法・用量:1日1回0.5mgを服用
2.有効性:フィナステリドよりも高い効果が期待できる
3.効果発現:6ヶ月程度の継続使用で効果が現れ始める
4.副作用:性機能関連の副作用(性欲低下、勃起障害など)がフィナステリドと同程度で報告されている
デュタステリドは、男性型脱毛症(AGA)の治療薬として承認されており、長期使用での安全性も確認されています。ただし、フィナステリドと同様に、妊婦や妊娠の可能性がある女性は胎児への影響を避けるため、服用を避ける必要があります。
また、デュタステリドはPSA値を低下させるため、前立腺癌の早期発見を遅らせる可能性があります。そのため、50歳以上の男性は定期的な前立腺検査を受けることが推奨されます。
ミノキシジルの外用は、AGAの治療において最も高い推奨度(A)を持つ治療法の一つです。主な特徴は以下の通りです。
1.用法・用量:1日2回、5%ミノキシジル溶液を頭皮に塗布
2.有効性:約60%の患者で発毛効果が認められる
3.効果発現:4〜6ヶ月程度の継続使用で効果が現れ始める
4.副作用:副作用はほとんど見られない
ミノキシジルは、男性だけでなく女性のAGAにも使用可能です。副作用としては、頭皮の刺激感や痒みなどが報告されていますが、重篤なものは稀です。
長期使用での安全性も確認されていますが、効果を維持するためには継続的な使用が必要です。使用を中止すると、徐々に治療前の状態に戻る可能性があります。
ミノキシジルは、他の治療法(フィナステリドやデュタステリドの内服)と併用することで、より高い効果が期待できます。
ミノキシジルの内服は推奨度D(行うべきでない)と評価されています。
1.方法:1日1回の経口投与
2.有効性:日本及び他国でも効果性について認可されていない
3.副作用:重大な心血管系障害(胸痛、動悸、息切れなど)、多毛症など
ミノキシジル内服は、元々降圧剤として開発されましたが、日本を含む世界各国で男性型脱毛症治療薬としての認可を受けていません。全身の多毛症という副作用を期待して使用されることがありましたが、その効果と安全性は十分に検証されていません。
さらに、重篤な副作用のリスクが報告されています。これらの理由から、日本皮膚科学会のガイドラインでは、ミノキシジル内服はAGA治療法として推奨されておらず、むしろ避けるべき治療法とされています。
植毛手術(自毛植毛)は、AGAの治療において推奨度Bの治療法です。主な特徴は以下の通りです。
1. 方法:後頭部や側頭部の毛髪を採取し、脱毛部位に移植する
2.有効性:適切に行われれば高い効果が期待できる
3.持続性:移植された毛髪は半永久的に生え続ける
植毛手術には、ストリップ法(FUT)と細小植毛法(FUE)があります。FUTは一度に多くの毛髪を移植できますが、後頭部に線状の傷跡が残ります。FUEは傷跡が目立ちませんが、通常時間がかかり、コストが高くなります。
手術の成功には、術者の技術と経験が重要です。また、術後のケアが効果を維持するために必要です
植毛手術は即効性があり、高い満足度が得られる治療法ですが、高額な費用がかかることや、適切なクリニック選びが重要であるため注意が必要です。
LEDおよび低出力レーザー照射は、AGAの治療において推奨度Bの治療法です。主な特徴は以下の通りです。
1.方法:特定の波長の光を頭皮に照射する
2.有効性:複数の臨床試験で有効性が示されている
この治療法は、毛包細胞の代謝を活性化し、毛髪の成長を促進すると考えられています。家庭用機器も市販されていますが、医療機関での治療がより効果的です。
LEDおよび低出力レーザー照射は、他の治療法(ミノキシジルの外用やフィナステリドの内服など)と併用することで、より高い効果が期待できます。
ただし、効果の個人差が大きいことや効果を維持するためには継続的な使用が必要とされています。
アデノシンの外用は、AGAの治療において推奨度Bの治療法として位置づけられています。主な特徴は以下の通りです。
1.方法:0.75%アデノシン含有外用液を1日2回、頭皮に塗布する
2.有効性:複数の臨床試験で有効性が示されています。
ただし、効果の個人差が大きいことや治療効果を維持するためには継続的な使用が必要です。
カルプロニウム塩化物の外用は、AGAの治療において男性では推奨度B、女性ではC1の治療法として位置づけられています。主な特徴は以下の通りです。
1.方法:1日2回適量を患部または被髪部全体に塗布しマッサージする
2.有効性:複数の小規模研究で一定の効果が報告されている
カルプロニウム塩化物の外用は、日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度C1(行ってもよい)とされています。長年の使用実績はありますが、有効性の十分な実証はまだなされていません。
t-フラバノンの外用は、AGAの治療においてC1の治療法として位置づけられています。主な特徴は以下の通りです。
1.方法:具体的な使用頻度は明記されていないが、1日1〜2回の使用が推奨されている
2.有効性:髪径の増大(約20%)と抜け毛数の減少(20%以下)が報告されている
3.副作用:特定の副作用はなく、安全性が高いとされている
t-フラバノンは、男性型脱毛症に対して多少有効性が示されていますが、女性の脱毛症に対する有効性は現在のところ証明されていません。男性での使用においても、効果には個人差があることが報告されています。また、長期使用における安全性については、まだ十分な研究データが蓄積されていない状況です。
そのため、t-フラバノンの使用を検討する場合は、事前に医師に相談し、個々の状況に応じた適切なアドバイスを受けることをおすすめします。
サイトプリンおよびペンタデカンの外用は、AGAの治療においてC1の治療法として位置づけられています。主な特徴は以下の通りです。
1.方法:具体的な使用頻度は明記されていないが、1日1〜2回の使用が推奨されている
2.有効性:
●男性型脱毛症:
サイトプリン:16週後の総合的改善度で軽度改善以上が30%
ペンタデカン:24週後のやや有効以上の有用率が76%
●女性型脱毛症(ペンタデカンのみ):
6ヶ月後の総合的改善度で軽度改善以上が79%
毛髪外径増加率は4.1%
3.持続性:現在具体的な根拠はなく、使用中止後個人差があるが効果を失われる可能性があり
4.副作用:具体的な副作用の報告はないですが、軽度のかゆみ、発赤・充血、発赤・充血が稀に起こる可能性があります。
サイトプリンとペンタデカンを含む育毛剤の外用療法は、現時点では発毛効果の有効性を示す根拠が限られています。
しかしながら、これらの成分は副作用が軽微であることが確認されており、この点を考慮して使用が許容されています。
男性型脱毛症に対しては、両成分とも一定の効果が報告されていますが、女性型脱毛症については状況が異なります。
特に、サイトプリンに関しては女性を対象とした臨床試験が実施されていないため、女性が使用する際には慎重な判断が必要です。
ケトコナゾールの外用は、AGAの治療においてC1の治療法として位置づけられています。主な特徴は以下の通りです。
1.方法:シャンプーに混ぜて使用する
2.有効性:少数であるが発毛効果が見られた
3.持続性:使用を中止すると効果が減衰する可能性が高い
4.副作用:副作用は主に塗布部位に発生し、全身に及ぶことは稀。副作用の発生頻度は比較的低く、多くでも5%未満とされている(皮膚刺激感、水疱など)
一部の研究では、ケトコナゾールの使用でAGAが改善したとの結果が報告されています。
しかし、長期使用における安全性に関して、十分なデータが蓄積されていないのが現状です。
そのため、ケトコナゾールの使用を検討する際は、医師に相談するなど、慎重な判断が求められます。
かつらの着用は、AGAの進行を止めたり、毛髪の再生を促進したりする直接的な治療効果はありません。
しかし、薄毛や脱毛による外見上の悩みを即時的に解決する有効な手段として認識されています。
ビマトプロストおよびラタノプロストの外用は推奨度C2(行わない方がよい)と評価されています。主な特徴は以下の通りです。
1.方法:脱毛部分に塗布する
2.有効性:調査によると半数近く効果が見られたが、半数は効果が見られず悪化した例も見られた
3.持続性:使用を中止すると効果が減衰する可能性が高い
4.副作用:安全性は不明確
元々緑内障や高眼圧症の治療薬として使用されていましたが、まつ毛の発毛効果が認められたことから、AGAへの治療にも効果があるのではないかと考えられました。
しかし、安全性・効果性の根拠も不十分であり、AGA治療として使用する場合は非常に高価であるため、現時点ではAGA治療薬としての使用は推奨されていません。
成長因子導入および細胞移植療法は推奨度C2(行わない方がよい)と評価されています。主な特徴は以下の通りです。
1.方法:毛誘導能をもつ間葉系細胞の直接移植、あるいはその分泌物を含む培養上清からの生成物などを患部に注入する
2.有効性:先進医療の段階であり、十分は検証結果がない
3.副作用:安全性も現在検証されていない
成長因子導入および細胞移植療法は、AGAの治療において将来性が期待される革新的なアプローチです。これらの治療法は、毛髪の再生や成長を促進する可能性を秘めており、従来の治療法とは異なる新たな選択肢となる可能性があります。
しかし、現在においては十分なデータが蓄積されていないため一般的な治療法として推奨されておりません。
ただし、この治療法は新しい治療法として注目されており、将来的にAGA治療の選択肢を大きく広げる可能性を秘めています。
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